40. 飼い主が動物に思っていることを、動物はどのくらい分かっているのか
長いタイトルですが、今回は、
飼い主が動物に思っていることを、動物はどのくらい分かっているのか、
です。
飼い主さんが動物に思っていること、のうち、飼い主さんが口にした言葉を理解しているか、については、既に述べました。
なので、今回はそれとは別に、
飼い主さんが言葉にしていない、「思っていること」をどのくらい動物が理解しているか、察しているのか、
について、お話しします。
人間には、以心伝心、とか、言葉で表さなくても伝わっていること、がありますね。
ですが、これは特定の時、であって、常に起きていることではありません。
人間の場合、言語コミュニケーションをしている中で、相手が思っていることを察したりするのは結構大変です。
相手に伝えたいことが伝わらなかったり、誤解が生じたり、ということはしょっちゅうです。
では、動物はどうでしょうか。
飼い主さんの思いを、口にしなくても、伝わっていると思いますか?
逆に、読まれて、逐一バレている、、、と思いますか?
動物一般論でいうと、答えは・・・
それほどハッキリと分かってはいないものの、意外と通じている、
です。笑
そしてそれは、飼い主さんと動物との心の距離に左右されます。
う〜ん、そう言われたらそうなんだろうけど、、、
これじゃあ、どう捉えたらいいのか、今後どうすれば良いのか分からないよ、
と思われる方もいらっしゃいますよね。
実は、動物の種類によって、ものすごく幅がある、というのも事実です。
ではまず、平均的な位置付けにいる、わんこを例にしてご説明しましょう。
例えば、飼い主さんがわんこを散歩に連れて行こうかなあ、どうしようかなあ?と思ったとします。
飼い主さんと心の距離が近い、飼い主さんラブ!の子は、かなりの確率で、察します。
思った途端、わんこの目がキラっとしていますよ。
でも、飼い主さんから「散歩」という言葉が具体的に出ないので、「あれ?行かないのかなあ?どうなんだろう?」という、半信半疑状態でいます。
では、あまり喜ばないようなことを思ったとしましょう。
わんこが喜ばないことを飼い主さんがやらせようと思った時、
飼い主さんラブ!の子は、ギクッとしています。
「え〜本気かなあ?」くらいには、内心思っています。
飼い主さんラブ!ほどにはなっていない、少々距離はあるものの、端から見たら飼い主さんに懐いているわね〜と周りから思われる程度であれば、似たようなことを思っています。
思いの強さの度合いが、もう少し柔らかい、という感じでしょうか。
飼い主さん、としては認識しているけれど、それほど、と思っているわんこは、
察しているけれども、反応が「ふ〜ん」です。
飼い主さんとして認識していない、つまり、飼い主さんは「動く生き物」と認定されている場合、
わんこ、というか全ての動物は、全く察しません。
飼い主さんに興味がないから、そもそも飼い主さんに意識が向いていません。
この場合、動物にとっては、違う世界に住んでいる、くらい、興味がなく、心の距離があります。
他の動物はどうでしょう。
ハムスターやモルモットなどの齧歯類は、飼い主さんが思ったことをどのくらい分かっているでしょうか。
齧歯類は無理でしょう!
と思ってしまいますが、実は・・・
はい、そのとおりです。笑
ご想像のとおり、齧歯類は飼い主さんが思ったことを察したり、エネルギーを読んだり、ということは一切していません。
他の回で書いたとおり、齧歯類が興味あることは、餌と水です。
なので、それ以外は全てスルーしています。
キリンはどうでしょう。
キリンの場合は飼い主さん、というか、一番身近は飼育員さんになると思うので、ここでは飼育員さんについて書きますね。
飼育員さんが思ったことを察しているか、というと、察しています。
内容に関わらず、です。
キリンは、察する能力が高いのです。
動物の中で、一番です。
なので、飼育員さんが、餌について、「今日はあれにしよう」と考えた時には、餌の中身まで把握している子もいます。
察する能力が普通程度だとしても、「お、今から餌の準備だな」と分かってしまいます。
でも、ここで一つ注意です。
この察する能力が高い対象となるのは、飼育員さんのように身近な人限定で、たまにしか訪れない私たち、来園者に対しては、発揮されません。
なので、私たちが「こっちへ来てくれないかな。よく見たいんだけど」なんて思っても、分かっていません。
では、鳥はどうでしょうか。
鳥を飼ったことがある人は、その察する能力たるや凄いことを既にご存知だと思います。
はい、キリンの次に、凄いんです。
しかも、鳥の場合は、
飼い主さん限定といった条件はなく、対象は「視界に入った人間全部」になります。
複数の人間が集団でいた場合、その中で一人、キーになる人がいます。
鳥はその人を見ています。全員ではありません。
キーになる人が何故かすぐに分かるのです。
キーになる人、というのは、その集団で次の行動を決めたり促したりする人ですね。
何故、察する能力を視界全部にするか、というと、
鳥は人間から攻撃された場合、やられる可能性が高く、
その怪我が飛べない原因となれば、死に直結します。
そのため、危機管理能力の一つとして、野生の勘の様なものを持っているからです。
これは、ペットとして生まれ、ペットとして飼われたことしかない鳥でも持っています。
ある意味、DNAに刷り込まれている、とでもいうのでしょうか。
鳥特有のものです。
まあ、ペットで飼われた鳥の場合、結構緩くて、
これじゃあペットとしても危機意識なさすぎ!と笑いたくなるような時もありますが、、、
一応、それでも持ち合わせています。
笑いたくなる時、例えば・・・
私が飼っていたセキセイインコの3代目ぴーちゃんは、熟睡しすぎて、よく行方不明になりました。
我が家は、鳥小屋の扉を朝になったら開け、暗くなって鳥が小屋に戻ったら閉める、という放鳥スタイルで飼っていたからです。
そして、名前を呼べばきちんと返事してくれるので、爆睡していなければ、何の問題もなかったのです。
私たち人間が、いなくなったと大騒ぎして探している中、爆睡、
ある時は姉の椅子の座面にいたのですが、その椅子を思いっきり引き出すまで、
あの騒動を知らず、途中椅子にぶつかっても爆睡し続け、椅子を30cm程度引き出したところで、
勢いでそのまま床まで落下、
その後も、一応起きたものの、寝ぼけ眼でぼーっとしていた。。。。
なんてことを、鳥はします。
程度の差こそあれ、これくらいのことをやらかします。
わんこも舟を漕いで寝たりしますが、ここまではなりませんし、鳥以外ではみられません。
あ、鳥といっても流石に野生の鳥はここまでなりません。が、いくら飼われているからといって、、、、という行動をするのが鳥、です。
それに、今回例として挙げたのは睡眠に関わることですが、それ以外の場面でも、何故か抜けている時は抜けまくるんですよね。
とてもじゃないですが、飼い主さんが動物に思っていることを察する第2位の動物とは思えない行動を、たまにとります。
それでも、ペットとして飼われている鳥でこの状態だとしても、察する能力は持ち続けていています。
その察する能力があるお陰で、
人間同士の言語コミュニケーションと同じレベルで
意思疎通が図れてしまう
のが、鳥です。
キリンは、その能力が鳥より上なのだから、どれほどか、と思いますよね。
さて、今度は逆に、飼い主さんが動物に思っていることを、全く分かっていない動物は何でしょう?
これは、飼い主さんとの心の距離とかそういう問題ではなく、この種類の動物は、最初からその能力を持ち合わせていない、という意味です。
それは・・・
爬虫類です。
先ほど齧歯類はスルーとお伝えしましたが、齧歯類は能力を持ち合わせてはいるんです。
でも、スルーしているのです。
結果は同じにせよ、ちょっと違うんですね〜。
あ、一つだけ例外があり、それは、一般的にミドリガメと言われているミシシッピアカミミガメです。
このカメだけは人間のことを察します。
この場合、ペットであってもなくても、で、意外と分かっています。
ペットであれば飼い主さんが、例えば、
「餌を食べないなあ、どうしたんだろう?」
と思ったとすると、その言葉どおり、伝わっています。
病名や薬の名前などは分かりませんが、一般的な、日常的な内容であれば、伝わっていると考えて大丈夫です。
という訳で、
ミドリガメ以外の爬虫類、というのが正確な言い方になります。
ちなみに、
ミドリガメは、人間の言葉も理解しています。
なので、話しかける時はゆっくり目に話してくださいね。
ちなみに、ちなみに、
メスのミドリガメちゃんに、飼い主さんが「可愛いなあ」と思うと、ミドリガメちゃんのほっぺたは、ポッと赤くなっています。
(可愛いんです、その顔が!!)